建設業倒産2,000件超・​人手不足倒産113件の​実態と​3つの対策

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「最近、付き合いのある業者が廃業した」「下請けを探しても断られることが増えた」——建設業界でこういった声が増えている背景には、統計データがある。帝国データバンクの最新調査によれば、2025年の建設業倒産件数は2,021件(前年比6.9%増)に達した。「人手不足倒産」は113件(前年99件)で初めて100件を超え、「物価高倒産」は240件(前年250件)と高い水準が続いている。本記事では、このデータが示す建設業界の構造的課題と、中小建設会社経営者が今すぐとるべき3つの経営対策を解説する。(出典:帝国データバンクの発表)

建設業倒産件数推移グラフ(帝国データバンク2022〜2025年)
出典:帝国データバンク「建設業の倒産動向(2025年)」(2026年1月13日)より作成
目次

帝国データバンク公表:2025年建設業倒産の詳細データ

帝国データバンクの各種発表資料をもとに、2025年の建設業倒産状況を整理する。

出典・参考URL:

  • 2025年建設業倒産件数:2,021件(前年比6.9%増)
  • 負債5,000万円未満の割合:57.7%(中小・零細の苦戦が顕著)
  • 人手不足倒産:113件(前年99件、+14件)
  • 物価高倒産:240件(前年250件から10件減・高い水準が続く)
  • 休廃業・解散:8,217件(前年から0.7%増・過去10年では2016年に次いで多い・帝国データバンク「全国企業 休廃業・解散動向調査(2025年)」2026年1月9日)

特に注目すべきは「休廃業・解散が倒産件数を上回っている」点だ。倒産は債権者への負債が残る公的な手続きだが、休廃業・解散はひっそりと市場から消える。「消えたことさえ業界に知られないまま廃業する会社」が倒産を上回る数で存在するのが、2025年の建設業の実態だ。

倒産の主因3つ——人手不足・物価高・価格転嫁の遅れ

主因①:人手不足倒産の加速

建設業の2024年問題(残業規制)施行後、時間外労働の上限規制を遵守しながら工期を守ることが困難になった中小建設会社が増えた。受注できる工事量に対して人員が足りず、工期遅延→違約金・取引停止→資金繰り悪化のサイクルが発生した。2025年の人手不足倒産113件はこの流れを直接反映している。

主因②:物価高倒産——資材・エネルギー価格の高止まり

2022年以降の資材価格上昇は2025年も継続。鋼材・セメント・木材などの主要な資材は、2020年ごろより高い水準が続いている(最新の動きは一般財団法人建設物価調査会の建設資材物価指数で確かめられる)。固定価格で受注した工事で採算が取れなくなり、工事完成を優先して赤字受注を続けた結果、資金が底をついて倒産するケースが多い。

主因③:元請への価格転嫁が進まない構造的問題

資材・人件費の上昇分を請負単価に転嫁するよう国は指導しており、2024年12月に施行された改正建設業法では、受注者が契約の前に資材の値上がりのおそれを知らせておけば、実際に値上がりしたときに代金の変更の協議を申し出られる決まり(第20条の2)もできた。それでも実態は元請からの圧力で値上げ交渉ができないケースが多い。原価に満たない請負代金を押しつけることは建設業法第19条の3(不当に低い請負代金の禁止)に当たるおそれがあるが、取引関係を壊せない下請業者は泣き寝入りする構図が続いている。

生き残るために考えられる5つの取り組み

「事業計画」の木の札と電卓とノートパソコン
「事業計画」の木の札と電卓とノートパソコン(イメージ)

倒産・廃業が増える中で、生き残りのために考えられる取り組みは次の5つだ。

  • ①特定専門業種に特化:電気・管・解体・リフォーム等のニッチ分野に特化し、競合が少ない領域でブランドを確立する
  • ②許可業種の多角化:建設業許可の業種追加(全29業種)により、受注できる工事の幅を広げる
  • ③外国人技能実習生・特定技能の活用:人手不足を補うため、建設分野の特定技能1号・2号を活用する
  • ④公共工事・元請比率を高める:民間工事の価格競争から脱し、経審を活用して公共工事の受注比率を高めて利益率を改善する
  • ⑤DX・ICT施工の導入:ドローン測量・BIM/CIMの導入で生産性を上げ、人員不足を技術で補う

取引先の倒産に巻き込まれないために——許可の情報で確かめる3つのこと

倒産や廃業が増えると、自社が健全でも、下請や元請の倒産で工事が止まったり、代金が回収できなくなったりする。取引を始める前と、年に1度の見直しのときに、次の3つを確かめておきたい。

  1. 許可の有効期限と業種:許可の有効期間は5年。期限が近いのに更新の準備が進んでいない会社や、発注する工事の業種の許可を持っていない会社には注意する。
  2. 決算変更届の提出:許可業者は毎事業年度の終了後4か月以内に決算変更届を出す決まりがあり、許可行政庁で閲覧できる。何年も出ていない会社は、経営の状態を外から確かめられない。
  3. 経営事項審査(経審)の結果:公共工事を受ける会社は経審を受けており、結果通知書で完成工事高や自己資本、利益の状態の推移を確かめられる。

1つ目の許可の有効期限と業種は、都道府県別・業種別の建設会社の一覧から相手の会社ページを開いて確かめられる。載っている情報は、会社ページの「データの更新日」の時点のものだ。

まとめ:今すぐとるべき3つの経営対策

経営対策具体的なアクション優先度
①受注単価の見直し・交渉現在の請負単価が資材・人件費上昇分を反映しているか確認。元請との価格交渉を文書化する最優先
②許可業種の追加・更新の確認取得している業種で対応できない工事を逃していないか確認。業種追加申請で受注機会を拡大する高
③キャッシュフロー管理の強化工事代金の回収サイクル・支払いサイクルを見直し、黒字倒産を防ぐための資金繰り表を作成する高
  • 2025年の建設業倒産は2,021件(前年比6.9%増)で、人手不足・物価高・価格転嫁の遅れが三重苦として経営を圧迫
  • 表面に出ない休廃業・解散は倒産件数をさらに上回る——業界は今、静かな淘汰の局面にある
  • 生き残るためには受注単価の適正化・許可業種の戦略的管理・キャッシュフロー強化の3点が急務

次のアクション:①直近3期の工事別原価と実際の請負単価を比較して採算が取れているか確認する ②建設業許可の業種リストを見直し、取得できていない業種がないか検討する

➡ 建設業許可を持つ会社を都道府県で検索する

➡ 都道府県別の建設業情報・手続きガイド

➡ 建設業経営情報ブログ(記事一覧)

よくある質問

Q: 建設業で倒産が増えている主な原因は何ですか?

帝国データバンクのデータによると、主因は3つです。①建設業の2024年問題(残業規制)による人手不足の深刻化(人手不足倒産113件)、②2022年以降続く資材・エネルギー価格の高止まり(物価高倒産240件)、③元請への価格転嫁が進まない下請け構造の固定化です。この3つが複合的に中小建設会社の経営を圧迫しています。

Q: 建設業の倒産情報・許可情報はどこで調べることができますか?

倒産情報は帝国データバンク(https://www.tdb.co.jp/)や東京商工リサーチで調べることができます。取引先の建設業許可の有効性は、許可を出した都道府県か国の窓口か、民間の建設業許可データベースサービスで確かめられます。下請業者の選定時には、許可の有効期限・業種・大臣・知事許可区分を必ず確認することが重要です。

Q: 取引先が倒産しそうか、事前に知る方法はありますか?

確実に知る方法はありませんが、手がかりはあります。建設業許可の有効期限が近いのに更新の準備をしていない、決算変更届が何年も出ていない、支払いの遅れや支払い条件の変更の申し出が増えた、といった変化は注意の合図です。許可の情報は許可を出した都道府県か国の窓口で、決算変更届は許可行政庁の閲覧で確かめられます。

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この記事を書いた人

中小建設企業の経営改善・財務強化・事業承継を専門とするビジネスアドバイザー。建設業特有の下請管理・支払サイト問題・財務諸表の見方を中心に、経営基盤の強化につながる実務情報を発信。建設業の経審(経営事項審査)と公共工事受注の仕組み、労働環境改善・働き方改革対応の最前線情報にも精通。M&A・事業承継・廃業検討中の建設会社向け情報も担当。

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