となりの家の建て替えや、近くの解体工事が始まると聞いたとき、「朝は何時から音がするのか」「日曜も工事をするのか」が気になる人は多いでしょう。大きな音や揺れを出す作業には、騒音規制法と振動規制法で、時間・日数・曜日の決まりがあります。
この記事では、二つの法律と施行令・施行規則、環境大臣の告示をもとに、どの作業が決まりの対象になるのか、工事の会社が何を届け出るのか、困ったときにどこへ相談すればよいのかをまとめました。自分の家の工事を頼むときに、近所への配慮を会社と話し合う材料にもなります。
工事の音と揺れを決めている2つの法律
騒音規制法 第2条 第3項と振動規制法 第2条 第3項では、建設工事として行われる作業のうち、著しい騒音や振動を出す作業で政令が定めるものを特定建設作業と呼んでいます。決まりがかかるのは、この特定建設作業です。
もう一つの条件が場所です。騒音規制法 第3条では、住居が集まっている地域や、病院・学校の周辺など、生活環境を守る必要がある地域を、都道府県知事(市の区域は市長)が指定地域として指定すると定めています。振動規制法にも同じ仕組みがあります。指定地域の外の工事や、特定建設作業に当たらない作業には、この2つの法律の決まりはかかりません(場所によっては市区町村の条例で決まりがあります)。また、騒音規制法 第27条 第2項では、特定建設作業以外の作業について市区町村などが条例で決まりを定めることを妨げないとしています。
どの作業が「特定建設作業」に当たるか
騒音規制法施行令 別表第二と振動規制法施行令 別表第二に、対象の作業が並んでいます。家の建て替えや解体で出てきやすいものを抜き出しました。
| 法律 | 主な対象の作業(抜き出し) |
|---|---|
| 騒音規制法 | くい打機・くい抜機を使う作業(もんけん・圧入式などを除く)、さく岩機を使う作業、出力80キロワット以上のバックホウ・70キロワット以上のトラクターショベル・40キロワット以上のブルドーザーを使う作業(音の小さい型として環境大臣が指定したものを除く)など8種類 |
| 振動規制法 | くい打機・くい抜機を使う作業(もんけん・圧入式・油圧式のくい抜機などを除く)、鋼球で建物などを壊す作業、舗装版破砕機を使う作業、ブレーカー(手で持つものを除く)を使う作業の4種類 |
どちらの施行令も第2条で、作業を始めたその日のうちに終わる作業は除くとしています。つまり、2日以上にまたがる作業が対象で、始めたその日に終わる作業は、法律の特定建設作業には当たりません。また、手で持つブレーカーは振動規制法では対象外ですが、騒音規制法では手で持つさく岩機を使う作業も対象です。
作業の時間・日数・曜日の決まり
騒音は環境大臣の告示「特定建設作業に伴つて発生する騒音の規制に関する基準」、振動は振動規制法施行規則 第11条と別表第一で、次の基準を定めています。区域は2つに分かれ、第1号区域は、静かな住まいの環境を守る必要がある区域や、学校・保育所・病院・入院の施設がある診療所・図書館・特別養護老人ホームなどの敷地の周りおおむね80メートルの区域として、知事(市は市長)が指定します。それ以外の指定地域が第2号区域です。
| 項目 | 第1号区域 | 第2号区域 |
|---|---|---|
| 敷地の境界での大きさ | 騒音は85デシベル、振動は75デシベルを超えないこと | |
| 作業をしない時間(夜間) | 午後7時から翌朝午前7時まで | 午後10時から翌朝午前6時まで |
| 1日の作業時間 | 10時間まで | 14時間まで |
| 続けて作業できる日数 | 同じ場所で連続6日まで | |
| 日曜日・休日 | 作業しない | |
どの項目にも例外があります。災害などで緊急に作業する必要があるとき、人の命や体への危険を防ぐために必要なとき、鉄道の運行や道路の使用の許可の条件で夜間・休日に作業するときなどです。また、自分の住む場所が第1号区域か第2号区域かは、知事や市長の指定で決まるので、市区町村の環境の担当の窓口で確かめてください。
工事の会社は7日前までに市区町村へ届け出る
騒音規制法 第14条と振動規制法 第14条では、指定地域の中で特定建設作業を伴う工事をする者は、作業を始める日の7日前までに市町村長へ届け出ると定めています。届け出る主な事項は次のとおりです。
- 工事をする者の氏名または名称と住所
- 工事でつくる建物や工作物の種類
- 特定建設作業の場所と実施の期間(振動規制法では作業の種類と作業時間も)
- 騒音や振動を防ぐ方法
届出には作業の場所の付近の見取図などを付けます。災害など非常の事態で緊急に作業する場合は、事前ではなく速やかに届け出ることになっています。7日前までの届出をしなかったり、うその届出をしたりした者には、騒音規制法 第31条で3万円以下の罰金、振動規制法 第26条で10万円以下の罰金が定められています。
決まりに合わないとき:市区町村の勧告と命令
騒音規制法 第15条と振動規制法 第15条では、特定建設作業の騒音や振動が基準に合わず、周りの生活環境が著しく損なわれると認めるとき、市町村長が工事をする者に、防ぐ方法の改善や作業時間の変更を勧告できると定めています。勧告に従わずに作業を続けるときは、改善や変更を命じることができます。この命令に違反した者には、騒音規制法 第30条で5万円以下の罰金、振動規制法 第25条で30万円以下の罰金が定められています。基準に合わない場合でも、すぐに工事が止まるわけではなく、まず市区町村が状況を確かめて求める、という順番です。
気になったときの相談先と、着工前にできること
公害紛争処理法 第49条では、地方公共団体は公害に関する苦情の適切な処理に努めること、都道府県と市区町村は住民の相談に応じる公害苦情相談員を置けることを定めています。工事の音や揺れで困ったときの最初の窓口は、市区町村の環境(公害)の担当です。届出が出ているか、作業の時間が基準に合っているかを確かめてもらえます。
相談の前に、次のことを書き留めておくと話が早く進みます。
- 工事の場所と、現場に掲げられた施工の会社の名前
- 音や揺れがあった日と時刻(早朝・夜・日曜など)
- どんな機械の作業だったか(くい打ち・解体の重機など)
自分の家の工事を頼むときは、着工前に「特定建設作業に当たる作業があるか」「届出はだれが出すか」「近所へのあいさつと作業時間の知らせをどうするか」を会社に聞いておきましょう。会社のことは、当サイトの建設会社名検索で社名から許可の種類と有効期限を無料で調べられます。契約書で確かめる項目は「工事の契約書で確かめること」にまとめています。
解体工事の会社は、都道府県ごとに調べられる解体工事業の許可業者一覧にも載っています。
まとめ:工事の前に確かめる4つのこと
- くい打ち・重機・ブレーカーなど、2日以上にまたがる特定建設作業があるかを確かめる
- 工事の場所が指定地域か、第1号区域か第2号区域かを市区町村に確かめる
- 第1号区域なら午後7時から午前7時まで・日曜休日は作業しない、が基本の決まり
- 困ったときは、日時と作業の様子を書き留めて市区町村の環境(公害)の担当に相談する
出典:騒音規制法 第2条・第3条・第14条・第15条・第27条・第30条・第31条、騒音規制法施行令 第2条・別表第二、振動規制法 第2条・第3条・第14条・第15条・第25条・第26条、振動規制法施行令 第2条・別表第二、振動規制法施行規則 第11条・別表第一・付表、公害紛争処理法 第49条(e-Gov 法令検索)・環境省「特定建設作業に伴つて発生する騒音の規制に関する基準」(昭和43年厚生省・建設省告示第1号)・環境省「騒音規制法の概要」(2026年10月13日に確認)
よくある質問
日曜日に隣の工事の音がしたら、決まりに反していますか?
特定建設作業(くい打ちや大きな重機の作業など)であれば、日曜日その他の休日には作業しないのが基準です。ただし、災害など緊急の場合や、道路の使用の許可の条件で休日に作業する場合などの例外があります。また、始めたその日に終わる作業など特定建設作業に当たらない作業は、この基準の対象外です(条例で決まりがある場合があります)。市区町村の環境の担当に確かめてください。
工事の届出が出ているかは、どこで分かりますか?
騒音規制法と振動規制法では、届出の先は市町村長です。届出が出ているか、作業の期間や時間がどう届け出られているかは、工事の場所の市区町村の環境(公害)の担当に問い合わせてください。
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