増資で​建設業許可の​区分は​変わるか|​経営段階別の​許可要件

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チェックリストに赤ペンで印を付ける手元

建設会社が成長して経営の規模を広げるとき、資本金の増資は大切な経営判断です。増資そのもので建設業許可の区分が自動で変わることはありませんが、特定建設業の許可を取るときの財産の要件(資本金2,000万円以上など)を満たす手段になります。また、資本金を変えたら変更の届出が必要です。本記事では、一般建設業と特定建設業の違い、増資が許可に関わる場面、増資の後の届出、経営の段階ごとのチェックリストを整理します。

目次

許可の区分と資本金の関係

一般建設業と特定建設業の違い

建設業許可は、「一般建設業」と「特定建設業」に分かれます。区分を決めるのは、元請として受けた工事で下請に出す金額です。発注者から直接請け負った1件の工事で、下請に出す代金の合計が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)になる場合は、特定建設業の許可が必要です。それ以外は一般建設業の許可で足ります。下請として受ける工事だけなら、金額にかかわらず一般建設業で請け負えます。

財産的基礎の要件

許可の要件の一つである財産的基礎は、一般建設業と特定建設業で違います。

  • 一般建設業:自己資本が500万円以上、または500万円以上の資金を調達できることなど(資本金の額の決まりはない)
  • 特定建設業:欠損の額が資本金の20%を超えないこと、流動比率が75%以上、資本金が2,000万円以上、自己資本が4,000万円以上(建設業法第15条第3号と国土交通省の基準)

特定建設業の財産の要件は、新規の申請と5年ごとの更新の申請のときに、直前の決算で確かめられます。資本金の額は、決算の後に増資して申請のときまでに満たせば認められる扱いがあるため、具体的には許可行政庁の手引で確かめてください。

増資が許可に関わる場面

印鑑ケースから判子を取り出す手元
印鑑ケースから判子を取り出す手元(イメージ)

場面1:一般建設業から特定建設業へ

元請として大きな工事を受けるようになり、下請に出す額が5,000万円以上になる見込みが出てきたら、特定建設業の許可が必要です。このとき、資本金2,000万円以上と自己資本4,000万円以上などの財産の要件を満たすために、増資を検討する会社があります。

財産の要件のほかに、特定建設業では営業所技術者(特定営業所技術者)の要件も重くなります。1級の国家資格などを持つ人か、元請として4,500万円以上の工事で2年以上の指導監督的な実務経験がある人などが必要です。同じ業種を一般建設業から特定建設業に替えるときは、新しく許可を申請します(いわゆる般・特新規)。

場面2:業種を増やすとき

業種を追加するときは、その業種の営業所技術者を置くことが要件で、資本金の額は要件ではありません。ただし、事業を広げると運転資金も増えるため、増資で経営の基盤を厚くする判断はありえます。

場面3:特定建設業の更新の前

特定建設業の許可を持つ会社で、赤字が続いて自己資本が4,000万円を下回りそうな場合は注意が必要です。更新の申請のときに財産の要件を満たしていないと、特定建設業のままでは更新できません。決算の内容は毎年の決算変更届で出すため、早めに数字を確かめ、増資なども含めて対策を考えましょう。

増資の後の手続き

資本金の変更の届出

増資で資本金の額が変わったら、許可行政庁へ変更の届出を出します(変更があった日から30日以内)。添付する書類は、資本金の変更を示す登記事項証明書などです。増資の登記を済ませてから届け出ましょう。

決算変更届

建設業法第11条第2項により、許可を持つ会社は、毎事業年度が終わってから4か月以内に決算変更届を出します。例えば3月決算の会社なら、7月末までです。増資の後の決算書では、貸借対照表の資本金と純資産の額に増資が表れます。

期限を過ぎても許可の効力がすぐになくなるわけではありませんが、届出の義務の違反として罰則(建設業法第50条)の対象になり、届出を済ませるまで更新や業種の追加の申請を受け付けてもらえないことがあります。

経営事項審査との関係

公共工事を元請で受けるために建設業許可申請とは別に経営事項審査を受けている会社では、自己資本額が X2 の評点の材料になります。増資で自己資本が増えれば、次の審査の X2 に表れます。

経営の段階ごとのチェックリスト

事務所の棚に並んだファイルと書類
事務所の棚に並んだファイルと書類(イメージ)

一般建設業で事業を伸ばしている段階

チェック項目確認内容
今の許可許可の業種と、一般建設業か特定建設業か
下請に出す額元請の1件の工事で、下請に出す額が5,000万円(建築一式は8,000万円)に近づいていないか
自己資本直近の決算の純資産の額
決算変更届毎年、決算の後4か月以内に出しているか

特定建設業を目指す段階

チェック項目確認内容
財産の要件資本金2,000万円以上・自己資本4,000万円以上・欠損の比率・流動比率75%以上
特定営業所技術者1級の資格者など、要件を満たす人がいるか
増資の手続き株主総会の決議・登記と、許可への変更の届出の段取り
申請の時期決算の数字と、申請の時期の組み合わせ

特定建設業を保つ段階

チェック項目確認内容
更新の前の決算財産の要件を満たしているか
赤字の時の方針自己資本が下がりそうなときの対策(増資など)
下請への支払い特定建設業者の下請代金の支払いの期限(第24条の6)を守っているか

増資のときに起きやすいミス

ミス1:資本金の変更の届出を忘れる

増資の登記で満足して、許可行政庁への変更の届出を忘れるケースがあります。資本金の額は許可の申請の内容なので、変わったら30日以内に届け出ましょう。

ミス2:会社法の手続きの抜け

増資には、株主総会などの決議、払込み、登記といった会社法の手続きが伴います。登記が済んでいないと、許可の届出の添付書類がそろいません。登録免許税などの費用も含め、司法書士や税理士と段取りを確かめておきましょう。

よくある質問

机の上の決算報告書と電卓とペン
机の上の決算報告書と電卓とペン(イメージ)

Q1. 増資をすると、建設業許可の区分は自動的に変わりますか?

変わりません。一般建設業から特定建設業に替えるには、新しく許可の申請が必要です。増資で資本金の額が変わったときは、30日以内に変更の届出を出します。

Q2. 資本金の要件は一般建設業と特定建設業で違いますか?

はい。一般建設業は自己資本500万円以上(または500万円以上の資金を調達できること)が基準で、資本金の額の決まりはありません。特定建設業は資本金2,000万円以上かつ自己資本4,000万円以上などが必要です。下請を保護するため、特定建設業の要件がより厳しくなっています。

Q3. 増資をすれば、常勤役員等の要件がなくても許可を取れますか?

取れません。財産的基礎と、常勤役員等(経営業務の管理体制)や営業所技術者の要件は、それぞれ別の要件です。すべてを満たす必要があります。

Q4. 減資をすると許可を取り消されますか?

一般建設業には資本金の額の要件がないため、減資だけで要件を欠くことはありません。特定建設業は、更新の申請のときに資本金2,000万円以上などを満たしている必要があります。減資の前に、次の更新への影響を確かめてください。資本金を変えたら、変更の届出も必要です。

Q5. 増資の手続きと許可の届出は同時にできますか?

許可の変更の届出には、増資の後の登記事項証明書などを添付します。先に増資の登記を済ませ、その後に届け出てください。

自社や取引先の許可の業種・許可番号・有効期限は、会社名や許可番号から調べられる建設業許可業者の検索でも確かめられます。

自社の許可が当サイトの会社ページにどう載っているか(業種・一般/特定・有効期限)は、都道府県別・業種別の建設会社の一覧から確かめられます。

出典:建設業法(e-Gov 法令検索)・国土交通省「建設業の許可とは」(確認日 2026-10-06)
この記事は一般的な情報をまとめたものです。法令や制度は変わることがあるため、最新の内容は公表元で確認し、個別の判断は窓口の役所や専門家(行政書士・社会保険労務士・税理士など)に相談してください。

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この記事を書いた人

建設業許可(一般・特定)の新規取得・更新・業種追加から変更届・廃業届まで幅広い申請実務に精通した許可申請の専門家。国土交通省の法改正情報を継続的に追跡し、都道府県ごとの審査基準の違いや落とし穴を解説。経営事項審査(経審)・入札参加資格・財産的基礎要件の確認方法など、中小建設会社が直面する許可維持の課題に対応した情報を提供している。

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