大分県の​建設業許可で​虚偽書類を​出すリスク|​福岡県の​有罪判決事例から

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書類の束の横で頭を抱えるスーツの男性

大分県で建設業許可の取得を考えている経営者の皆様へ。許可の申請書類は、事実どおりに作ることが大前提です。うその記載をして出すと、建設業法の罰則の対象になり、許可の取消しや、役員が欠格要件に当たることにもつながります。隣の福岡県では、働いていない人の名義で役員や技術者の証明書を出した建設会社の社長らが、2026年9月に有罪の判決を受けました。本記事では、この事例と建設業法の条文、大分県の案内をもとに、建設業許可申請で虚偽の書類を出したときの罰則と処分、経営者個人への影響、虚偽を避けて正しく申請するための5つのポイントを解説します。

目次

福岡県の有罪判決に見る虚偽書類提出の実態と法的責任

木の机でノートパソコンを打つ手元とノート
木の机でノートパソコンを打つ手元とノート(イメージ)

虚偽書類提出事件の概要と判決内容

TNCテレビ西日本(2026年4月30日)やデータ・マックス(2026年8月31日)などの報道によると、福岡県大任町の建設会社は、2023年6月に一般建設業の許可を申請した際、働いている実態のない男性2人の名義で「常勤役員等証明書」と「営業所技術者等証明書(旧 専任技術者証明書)」を作り、県に提出して同年8月に許可を受けました。いわゆる名義貸しです。

会社の社長と、書類を作った元行政書士の2人は2026年4月に逮捕されました。福岡地方裁判所は2026年9月9日、社長ら2人に建設業法違反で懲役1年・執行猶予3年の判決を言い渡しました(HUNTER 2026年9月9日)。問われたのは建設業法違反で、詐欺罪ではありません。また福岡県は、2026年8月18日付でこの会社の一般建設業の許可を取り消したと報じられています(データ・マックス 2026年8月31日)。

「許可を早く取りたい」「要件を満たす人がいない」という事情から名前を借りると、会社も経営者個人も大きな責任を負うことになります。建設業法は全国共通の法律で、大分県で許可を受ける場合も同じです。

建設業法違反として問われる罰則

虚偽の書類による許可の申請には、次の罰則があります。

  • 建設業法第50条第1項第1号:許可申請書やその添付書類にうその記載をして出したときは、6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
  • 同条第2項:情状により、拘禁刑と罰金をあわせて科すことができる
  • 建設業法第47条第1項第5号:うその内容のまま許可(更新を含む)を受けたときは、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(情状により両方を科されることもある)
  • 第53条:社員が会社の業務として行ったときは、行為をした人のほか、会社にも罰金(第47条の違反のときは1億円以下)

なお、詐欺罪には罰金刑がなく(刑法第246条は10年以下の拘禁刑)、「詐欺罪で罰金刑」ということはありません。福岡県の事例は執行猶予つきの判決でしたが、執行猶予の期間中も、刑に処せられた役員は欠格要件に当たります(建設業法第8条第7号)。

大分県での行政処分と許可取り消しのリスク

名札の女性がノートパソコンを前に来た人に説明する様子
名札の女性がノートパソコンを前に来た人に説明する様子(イメージ)

虚偽の申請に対する行政処分

刑事罰とは別に、許可を出した大分県知事などは、次の処分をします。

  • 許可の取消し:不正の手段で許可や更新を受けたときは、許可は取り消されます(第29条第1項第7号)
  • 5年間は許可を受けられない:不正の手段を理由に取り消されると、取消しの日から5年間は許可を受け直せません(第8条第2号)
  • 役員等の営業の禁止:取消しのときの役員等は、5年間、同じ建設業を新たに始めることを禁止されます(第29条の4第2項)

処分は公告され(第29条の5)、国土交通省の「ネガティブ情報等検索サイト」で、全国の建設業者の監督処分を誰でも調べられます。取引先や金融機関、発注者にも知られることになります。

「許可取り消し」がもたらす経営へのインパクト

許可が取り消されたときに起きることを、建設業法の条文で整理します。

影響項目具体的な内容
新しい工事許可の要らない軽微な工事を除き、新しく請け負えなくなる
進行中の工事取消しの前に結んだ請負契約の工事は施工を続けられる。処分の後2週間以内に注文者へ知らせる(第29条の3第1項)
注文者による解除注文者は、知らせを受けた日などから30日以内に限り、請負契約を解除できる(第29条の3第5項)
許可の取り直し不正の手段による取消しでは、取消しの日から5年間は許可を受けられない(第8条第2号)
役員個人取消しのときの役員等は、5年間、同じ建設業を新たに始められない(第29条の4第2項)

進行中の工事は続けられても、注文者が契約を解除すれば、その工事も失います。新しい工事を請けられない期間が5年続くことは、多くの会社にとって事業の継続そのものに関わります。

大分県での建設業許可申請で虚偽を避けるための5つのポイント

木の机の上の青いファイルと書類
木の机の上の青いファイルと書類(イメージ)

ポイント1:営業所技術者の要件を正確に確認する

許可を受けるには、営業所ごとに営業所技術者(以前の呼び方は専任技術者)を置く必要があります(第7条第2号)。要件を満たすのは、業種に対応した施工管理技士などの資格を持つ人、決められた学歴と実務経験のある人、10年以上の実務経験のある人などです。

  • 資格が、許可を受ける業種に対応しているか
  • 実務経験で満たす場合、経験の年数と工事の内容を裏付ける書類があるか
  • その営業所に常勤し、専らその仕事をする人か(ほかの会社との掛け持ちはできない)

要件を満たす人がいないときは、名前を借りるのではなく、要件を満たす人を実際に迎えるか、満たすまで待つしかありません。福岡県の事例は、まさにこの点を偽ったものでした。

ポイント2:常勤役員等の経歴を改ざんしない

許可を受けるには、経営業務の管理を適正に行う体制も必要です(第7条第1号)。たとえば、建設業に関して5年以上、経営業務の管理責任者としての経験がある役員などを、常勤役員等として置きます(以前の呼び方は経営業務管理責任者)。

  • 経験の年数を、登記の記録や工事の契約書・請求書などで裏付けられるか
  • その人が実際に会社に常勤しているか(ほかの会社の常勤の役員や社員ではないか)

個人事業主から法人を作った場合や、ほかの会社での経験を使う場合は、書類どうしの日付や内容が合っているかを特に確かめます。

ポイント3:工事経歴書は事実どおりに書く

許可の申請には、これまでの工事を書いた工事経歴書を添付します(第6条第1項第1号)。請け負っていない工事や、金額を水増しした工事を書くと、添付書類の虚偽の記載として罰則の対象になります(第50条第1項第1号)。実績が少ないときは、少ないまま正しく書きます。

ポイント4:電子申請でも書類の中身は同じ

大分県では、2023年(令和5年)1月10日から、国土交通省の「建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)」による電子申請を受け付けています。紙での申請も引き続き受け付けています。電子申請でも、出す書類の中身と、うその記載が罰則の対象になることは紙の申請と同じです。

ポイント5:交代や変更は期限内に届け出る

許可を受けた後も、次の届出が必要です。届出をしなかったり、うその記載をしたりすることも、罰則の対象です(第50条第1項第2号・第3号)。

  • 役員等などが変わったとき:30日以内(第11条第1項)
  • 営業所技術者が変わったとき:2週間以内(第11条第4項)
  • 決算変更届:毎事業年度の終わりから4か月以内(第11条第2項)

大分県は、令和5年度以降の更新などの申請で、過去5年分の決算届(決算変更届)が適正に出ているかを確かめ、出ていなければ必ず提出を求めるとしています(大分県「建設業許可申請書類について」)。

大分県での建設業許可申請──正規の流れと電子申請

業種ごとに見ると、大分県で当サイトに掲載している会社は次のとおりです(2026年10月16日に数えた)。1社がいくつもの業種の許可を持つことがあるため、業種の数を足しても会社の数にはなりません。

業種大分県の掲載の会社
とび・土工工事業2,418社
土木工事業2,052社
舗装工事業1,580社
建築工事業1,302社
水道施設工事業1,257社
鋼構造物工事業1,194社
石工事業1,073社
管工事業1,060社
解体工事業992社
しゆんせつ工事業875社
塗装工事業822社
大工工事業766社
内装仕上工事業749社
屋根工事業588社
電気工事業554社
タイル・れんが・ブロツク工事業489社
防水工事業385社
建具工事業335社
造園工事業334社
機械器具設置工事業290社
左官工事業284社
板金工事業280社
ガラス工事業233社
熱絶縁工事業211社
鉄筋工事業202社
消防施設工事業161社
電気通信工事業140社
さく井工事業50社
清掃施設工事業1社
大分県の業種ごとの掲載の会社(建設業許可DBの掲載・2026年10月16日に数えた)

電子申請の準備

大分県の「建設業の許可」のページによると、電子申請の準備は次のとおりです。

  • gBizID を取る:JCIP を使うには、デジタル庁の「gBizID」のアカウントが要ります
  • 手数料はインターネットバンキングで納める:電子申請では、システムから収納代行業者の支払いの画面へ進み、対応する金融機関のインターネットバンキングで納付します
  • 紙の申請も使える:電子申請に慣れていない場合は、紙で申請することもできます

申請で出す主な書類

新しく許可を受けるときの主な書類は次のとおりです。電子申請では、これらをシステムで入力したり、ファイルで添付したりします。細かい書類や様式は、大分県の案内で最新の内容を確かめてください。

書類名作成ポイント
建設業許可申請書商号、営業所、役員等の氏名などを登記の記録と合わせて書く
工事経歴書実際に請け負った工事だけを書く
誓約書会社・役員等・令3条の使用人が欠格要件に当たらないことを誓約する(第6条第1項第4号)
常勤役員等証明書実際に常勤する役員の経験を、裏付けの書類とともに示す
営業所技術者等証明書実際に営業所に常勤する技術者の資格や実務経験を示す
財務諸表・納税証明書税務申告をした決算書をもとに作る。知事許可では事業税の納税証明書

とくに、常勤役員等と営業所技術者の証明書は、福岡県の事例で偽られた書類です。名前を書く人が実際に常勤しているかを、書類を作る前に確かめましょう。

虚偽書類提出による刑事責任と会社経営者個人への影響

経営者本人に問われる刑事責任

虚偽の申請で罰せられるのは、会社だけではありません。うその書類を作って出した人が罰せられ、会社にも罰金が科されます(第50条・第53条)。うその内容のまま許可を受けたときは、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(第47条第1項第5号)で、会社には1億円以下の罰金です。福岡県の事例でも、社長と、書類を作った元行政書士の2人が有罪になりました。

経営者個人には、次の影響も出ます。

  • 欠格要件に当たる:拘禁刑以上の刑(2025年6月より前の懲役・禁錮を含む)に処せられると、刑の執行を終わった日などから5年を経過するまで欠格要件に当たります(第8条第7号)。執行猶予がついた場合は、猶予の期間中が欠格要件に当たります(期間を無事に終えると刑の言渡しは効力を失います・刑法第27条)。建設業法違反の罰金刑でも同じく5年です(第8条第8号)
  • ほかの会社の許可にも及ぶ:その人が役員を務めるほかの建設会社も、欠格要件に当たり、許可の取消しの対象になります(第8条第12号・第29条第1項第2号)
  • 営業の禁止:不正の手段による取消しのときの役員等は、5年間、同じ建設業を新たに始められません(第29条の4第2項)

会社法人としての行政処分

会社に対しては、許可の取消し(第29条第1項第7号)と、取消しの日から5年間は許可を受けられないこと(第8条第2号)が中心です。処分は公告され(第29条の5)、大分県の許可業者であれば県の処分として公表されます。建設業法には「2年間は申請できない」という決まりはなく、不正の手段による取消しでは5年間です。

大分県で許可申請をする企業が最初に取り組むべきこと

許可申請前の準備チェックリスト

虚偽を避け、正しく許可を受けるため、次の点を確かめてから申請に進みましょう。

  1. 常勤役員等になる人の経験を裏付ける書類をそろえる:登記の記録や工事の契約書・請求書など
  2. 営業所技術者になる人の資格を原本で確かめる:合格証明書や資格者証の原本と写しを照らし合わせる
  3. 実務経験の証明は事実どおりに作る:経験を証明する会社に内容を確かめてもらう
  4. 2人が実際に常勤できるかを確かめる:ほかの会社の仕事との掛け持ちや、遠い住所からの通勤になっていないか
  5. 役員等全員が欠格要件に当たらないかを確かめる:本人の申告と誓約で確かめる
  6. 電子申請なら gBizID を先に取る:発行までに日数がかかることがある

不安な場合の相談先

要件を満たしているか分からないときは、書類を作る前に、大分県の建設業許可の担当課に相談しましょう。県のホームページの「建設業の許可」のページに、手引きや問い合わせ先が載っています。書類づくりを行政書士に頼むこともできますが、書類の中身に責任を持つのは申請する会社です。

よくある質問

Q1. 建設業許可申請で虚偽書類を提出したら罰則はどうなりますか?

許可申請書やその添付書類にうその記載をして出すと、6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です(建設業法第50条第1項第1号)。会社にも罰金が科されます(第53条)。うその内容のまま許可を受けたときは、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(第47条第1項第5号)で、会社には1億円以下の罰金です。福岡県の事例は建設業法違反で懲役1年・執行猶予3年でした。不正の手段で受けた許可は取り消され、5年間は許可を受け直せません。

Q2. 常勤役員等(経営業務管理責任者)の経験の証明に誤りがあった場合どうすればいい?

気づいた時点で、許可を出した行政庁(大分県知事の許可なら県の担当課)に相談し、正しい内容に直す手続きを確かめてください。誤りを隠したり、つじつまを合わせるために別の書類を書き換えたりしてはいけません。

Q3. 大分県での建設業許可申請で確認が厳しい書類は何ですか?

常勤役員等と営業所技術者の証明書、その経験や常勤を裏付ける書類です。福岡県の事例で偽られたのも、この2つの証明書でした。また大分県は、更新などの申請で過去5年分の決算変更届が出ているかを確かめています。

Q4. 許可を得やすくするため書類を多少改ざんしても大丈夫ですか?

いけません。程度にかかわらず、うその記載をして出せば建設業法第50条の罰則の対象で、そのまま許可を受ければ第47条(3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)の対象です。許可が取り消されると5年間は受け直せず、役員個人も欠格要件に当たるおそれがあります。要件が足りないときは、満たしてから申請しましょう。

Q5. 虚偽書類で許可取得後、後で発覚した場合はどうなりますか?

許可を受けた後に分かっても、罰則の対象であることは変わりません。不正の手段で受けた許可として取り消され(第29条第1項第7号)、取消しの日から5年間は許可を受けられません(第8条第2号)。取消しの前に結んだ契約の工事は施工を続けられますが、注文者は30日以内に限り契約を解除できます(第29条の3)。

まとめ

福岡県の名義貸しの事件は、建設業許可の書類に事実と違う内容を書くと、刑事罰と許可の取消しの両方につながることを示しています。本記事では、次の3点をお伝えしました。第1に、虚偽の申請は建設業法第50条で6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、うその内容で許可を受ければ第47条で3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象で、会社にも罰金(第47条なら1億円以下)が科されること。第2に、不正の手段で受けた許可は取り消され、5年間は受け直せず、役員個人も欠格要件や営業の禁止の対象になること。第3に、大分県では2023年1月から電子申請ができますが、書類の中身の責任は紙と同じで、常勤役員等と営業所技術者は実際に常勤する人でなければならないこと。まずは、申請に名前を書く人が実際に常勤し、要件を満たしているかを確かめることから始めましょう。

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この記事を書いた人

建設業許可(一般・特定)の新規取得・更新・業種追加から変更届・廃業届まで幅広い申請実務に精通した許可申請の専門家。国土交通省の法改正情報を継続的に追跡し、都道府県ごとの審査基準の違いや落とし穴を解説。経営事項審査(経審)・入札参加資格・財産的基礎要件の確認方法など、中小建設会社が直面する許可維持の課題に対応した情報を提供している。

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