決算変更届が​期限に​間に​合わない建設会社へ|​リスクと対応

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継手を加工して積まれた木材

建設業許可を受けた建設会社・工務店・リフォーム会社は、毎年の決算の後に決算変更届を出す義務があります。ところが、決算や税務申告の後回しになりやすく、期限を過ぎてしまう会社も少なくありません。出していない年度があると、許可の更新や業種の追加、経営事項審査の手続きが止まり、罰則の対象にもなります。本記事では、決算変更届の期限と中身、遅れたときのリスクと対応、期限を守るための段取りを解説します。

目次

決算変更届とは|建設業法で定められた義務

決算変更届の決まり

決算変更届(事業年度終了届)は、建設業法第11条第2項により、許可を受けたすべての建設業者が、毎事業年度が終わってから4か月以内に許可行政庁へ出す書類です。主な中身は次のとおりです。

  • 工事経歴書
  • 直前3年の各事業年度の工事施工金額
  • 財務諸表(貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・注記表など)
  • 事業報告書(株式会社の場合)
  • 許可行政庁が求める書類(納税証明書など)

添付する書類は許可行政庁によって違うため、手引で確かめてください。経営事項審査で使う経営状況分析の結果は、決算変更届の添付書類ではありません。

なぜ決算変更届が大切なのか

  • 出していない年度があると、5年ごとの更新や業種の追加の申請を受け付けてもらえないことがある
  • 公共工事を受けるための経営事項審査の前に、その決算期の決算変更届を出しておくよう求める許可行政庁が多い
  • 出された書類(工事経歴書など)は閲覧の対象で、取引先や発注者が会社の実績を確かめる材料になる

決算変更届の提出期限

カレンダーの日付の上に置いたペン
カレンダーの日付の上に置いたペン(イメージ)

期限は事業年度の終了から4か月以内

  • 3月末決算の場合:7月末までに提出
  • 12月末決算の場合:4月末までに提出
  • 6月末決算の場合:10月末までに提出

自社の決算月を確かめ、4か月という期間から逆算して準備しましょう。

提出先は許可を受けた許可行政庁

1つの会社が持つ建設業許可は、知事許可か大臣許可のどちらか1つです。

  • 知事許可:許可を受けた都道府県の窓口へ出す
  • 大臣許可(2つ以上の都道府県に営業所がある場合):主たる営業所の所在地を管轄する地方整備局など(沖縄県は沖縄総合事務局)へ出す

営業所が複数の県にあっても、県ごとに別々に出すわけではありません。

提出が重なる時期

3月末決算の会社では、5月〜7月に、決算の確定、税務申告、決算変更届の作成が重なります。事務の担当が少ない会社ほど、遅れが出やすい時期です。

提出が遅れたときのリスク

罰則

決算変更届を出さなかったり、うその内容で出したりすると、建設業法第50条により、6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になります。建設業法違反で罰金刑を受けると、その後5年間は許可を受けられない欠格要件にも当たります(第8条)。

更新や業種の追加ができない

出していない年度があると、許可の更新の建設業許可申請のときにまとめて出すよう求められ、手続きが止まります。更新の申請の期限(有効期間の満了の30日前まで)に間に合わなければ、許可が失効するおそれもあります。業種の追加や、一般建設業から特定建設業への変更の申請でも同じです。

経営事項審査を受けられない

経営事項審査を受ける前に、その決算期の決算変更届を出しておく必要があるのがふつうです。遅れると経審の結果が出るのも遅れ、前の結果の有効期間(1年7か月)が切れると、公共工事の入札に参加できない期間ができてしまいます。

取引先からの信用

決算変更届の書類は閲覧できるため、出ていないことは取引先や金融機関からも分かることがあります。法令を守る体制を疑われないよう、毎年期限内に出しましょう。

期限内に出すための段取り

数字の表の上で電卓を打つ手元
数字の表の上で電卓を打つ手元(イメージ)

スケジュールを決めておく

  • カレンダーに期限を書く:決算日から4か月後の期限を、毎年の予定に入れておく
  • 決算の前に担当を決める:経理の担当、工事経歴書の担当、提出の担当を決める
  • 税理士と時期をそろえる:決算書ができる時期を確かめ、財務諸表の組み替えの時間を見込む

書類を前もってそろえる

  • 決算書(貸借対照表・損益計算書など)と、建設業の様式への組み替え
  • 工事経歴書(その事業年度の主な工事を、決められた順で書く)
  • 直前3年の工事施工金額
  • 納税証明書など、許可行政庁が求める書類

工事経歴書は、工事の台帳から毎月まとめておくと、決算の後の作業が楽になります。

電子申請を使う

2023年1月から、国土交通省の「建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)」で、決算変更届を電子で出せるようになりました。窓口に行ったり郵送したりする手間が省けます。使うには、GビズIDのプライムアカウントなどの準備が必要なので、初めて使うときは早めに用意しましょう。対応の状況は許可行政庁の案内で確かめてください。

行政書士に頼む

事務の担当が少ない会社は、行政書士に決算変更届の作成と提出を頼む方法もあります。期限の管理もあわせて頼めば、出し忘れを防ぎやすくなります。

提出が遅れてしまったときの対応

気づいたら、すぐに作って出す

  1. 許可行政庁の窓口に相談する:期限を過ぎていることを伝え、出し方を確かめる
  2. 出していない年度をすべて洗い出す:複数の年度が抜けていれば、古い年度から順に用意する
  3. 書類を作って出す:期限を過ぎても提出はできるので、できるだけ早く出す
  4. 次の年度から仕組みを直す:担当と期限の管理を見直す

とくに、許可の更新や経営事項審査の予定が近い場合は、その手続きに間に合うよう、最優先で出しましょう。

複数の県に営業所がある会社の注意点

書類を押さえながら電卓を打つ手元
書類を押さえながら電卓を打つ手元(イメージ)

2つ以上の都道府県に営業所がある会社は、大臣許可を受けているはずです。決算変更届は、主たる営業所を管轄する地方整備局などに1通出します。営業所ごとの工事の実績も、工事経歴書にまとめて書きます。

一方、営業所が1つの県だけにある知事許可の会社が、ほかの県に営業所を新しく置く場合は、大臣許可への「許可換え」の申請が必要です。営業所を増やす計画があるときは、決算変更届の時期とあわせて手続きを確かめておきましょう。

取引先や下請の会社が建設業許可を持っているかは、全国の建設業許可業者を業種や地域から調べられる建設業許可データベースの企業検索で確かめられます。

よくある質問

Q1. 決算変更届の提出期限はいつまでですか?

毎事業年度が終わってから4か月以内です(建設業法第11条第2項)。3月末決算なら7月末までです。

Q2. 期限を過ぎて出した場合、どのようなペナルティがありますか?

届出をしないことは、6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です(第50条)。また、出していない年度があると、許可の更新や業種の追加、経営事項審査の手続きが進みません。

Q3. 決算変更届を出し忘れていた場合、どう対応すべきですか?

気づいた時点で許可行政庁の窓口に相談し、出していない年度の分をすべて、できるだけ早く出してください。更新の予定が近い場合は、とくに急ぎましょう。

Q4. 決算変更届に必要な書類は何ですか?

工事経歴書、直前3年の工事施工金額、財務諸表、事業報告書(株式会社の場合)などです。納税証明書など、許可行政庁によって求める書類が違うため、手引で確かめてください。

Q5. 建設業許可がない場合でも決算変更届は必要ですか?

建設業許可を受けていない場合、決算変更届を出す義務はありません。許可を取る予定がある場合は、許可の申請で財務諸表などが必要になるため、決算書を整えておきましょう。

まとめ

決算変更届の提出は、毎事業年度が終わってから4か月以内が期限です(建設業法第11条第2項)。出さないと罰則の対象になり、出していない年度があると、許可の更新や業種の追加、経営事項審査の手続きが止まります。期限を過ぎても提出はできるので、気づいたらすぐに許可行政庁に相談し、出していない年度の分をそろえて出しましょう。まずは直近の事業年度の分が出ているかを確かめ、毎年の期限をカレンダーに入れることから始めましょう。

次の更新までの期間は、都道府県別・業種別の建設会社の一覧から自社の会社ページを開き、許可の有効期限で確かめられます(載っている情報は、会社ページの「データの更新日」の時点のものです)。

出典:建設業法(e-Gov 法令検索)・国土交通省「建設業の許可とは」(確認日 2026-10-06)
この記事は一般的な情報をまとめたものです。法令や制度は変わることがあるため、最新の内容は公表元で確認し、個別の判断は窓口の役所や専門家(行政書士・社会保険労務士・税理士など)に相談してください。

取った許可の業種と番号は、元請や施主が会社のホームページでも確かめます。建設業のホームページに載せる物|許可・業種・施工事例・採用の書き方

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この記事を書いた人

建設業許可(一般・特定)の新規取得・更新・業種追加から変更届・廃業届まで幅広い申請実務に精通した許可申請の専門家。国土交通省の法改正情報を継続的に追跡し、都道府県ごとの審査基準の違いや落とし穴を解説。経営事項審査(経審)・入札参加資格・財産的基礎要件の確認方法など、中小建設会社が直面する許可維持の課題に対応した情報を提供している。

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