佐賀県の​建設会社が​営業停止に|​無許可業者との​下請け契約の違反

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道路の工事現場を見渡す作業員の後ろ姿

建設業許可を持って佐賀県で事業を展開する企業にとって、法令遵守は経営の根幹です。ところが2026年、佐賀県鳥栖市の建設会社が、請け負った建築一式工事で、軽微な建設工事に当たらない工事について建設業の許可を持たない業者と下請契約を結んだとして、国の九州地方整備局から営業停止7日の処分(令和8年7月17日)と、指名停止6週間の措置を受けました(九州地方整備局の発表 令和8年8月17日)。「なぜ下請け契約が違反になるのか」「自社は大丈夫か」と不安を感じている経営者も多いのではないでしょうか。この記事では、実際の違反事例の詳細、建設業法の規定、そして違反を防ぐための具体的な対策をご紹介します。正規の許可申請フローを確認し、経営リスクを最小化するための知識を身につけましょう。

目次

佐賀県での営業停止事例:何が違反だったのか

鳥栖市の総合建設会社の営業停止処分

2026年、佐賀県鳥栖市の総合建設会社は、佐賀県内で請け負った建築一式工事で、軽微な建設工事に当たらない工事について、建設業の許可を持たない業者と下請契約を結んだとして、九州地方整備局から令和8年7月17日に営業停止7日の処分を受けました(建設業法第28条第1項第六号)。同局の指名停止は6週間(8月17日〜9月27日)です(九州地方整備局の発表 令和8年8月17日)。この事例が業界内で注目を集めたのは、違反の理由が「無許可業者との下請け契約」だったためです。

許可を受けていない業者が500万円以上(消費税込み。建築一式工事は1,500万円以上、延べ面積150㎡未満の木造住宅の工事を除く)の工事を請け負うことは、建設業法第3条で禁止されています。許可業者がこうした業者と下請契約を結んだ場合も、許可業者の側が監督処分の対象になります(同法第28条)。佐賀県で許可を持つ会社も同じです。

なぜ違反は認識されにくいのか

無許可業者との下請け契約が違反とわかっていながら、実際には契約してしまう企業もあります。その理由は主に3つです。

  • コスト削減圧力:許可取得には初期費用と維持費がかかるため、無許可の下請けが安価に見える
  • 短期的な納期対応:急な案件対応で「とりあえず工事を進める」という判断
  • 曖昧な契約形態:「一時的な応援」や「手伝い」という名目で、実質的な下請けが進行する

しかし建設業法は、こうした実態を厳しく問います。契約書の有無や名目ではなく、「実質的に建設工事を行わせているか否か」が判断基準だからです。

建設業許可と下請け契約の法的関係

電卓を見せるスーツの女性と机の上の書類
電卓を見せるスーツの女性と机の上の書類(イメージ)

建設業法第3条:許可を受けない営業の禁止

佐賀県の会社にとっても基本となる規定は、建設業法第3条です。この条文は、建設業を営もうとする者は、営業所の置き方に応じて国土交通大臣か都道府県知事の許可を受けなければならない(軽微な建設工事だけを請け負う場合を除く)と定めています。

この条文が定めるのは、自社が許可を受ける義務です。無許可の業者と下請契約を結んだ元請は、第28条第1項第六号により監督処分(営業停止など)の対象になります。

  • 無許可業者:許可なしで営業(第3条違反)
  • 元請の許可業者:無許可の業者と下請契約を結んだ(第28条第1項第六号の監督処分)

下請け契約と実際の工事執行のギャップ

この件で問題とされたのは、軽微な建設工事に当たらない(500万円以上の)下請けを、建設業の許可を持たない業者と契約したことです。建設業の許可は、工事の種類別に取得する必要があります。たとえば舗装工事で下請けを活用する場合、舗装工事の許可を持たない企業に、500万円以上(消費税込み)の舗装工事を下請けさせることは違反です。

九州地方整備局の発表は、許可を持たない業者と、軽微な工事の範囲を超えて下請契約を結んだことを、建設業法第28条第1項第6号に当てています。第6号は、元請けが知っていたかどうかを条件にしていません。そのため、知らなくても指示の対象になりえます。一方、国の監督処分の基準は、知っていて(情を知って)結んだ場合を7日以上の営業停止としています。

経営事項審査と無許可業者の関係

経審での下請け実績評価の落とし穴

経営事項審査(経審)は、公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が受けなければならない審査です(建設業法第27条の23)。監督処分を受けると、経審の「法令遵守の状況」で減点されます。

経審では、工事実績報告書の内容が精査されます。

許可要件への影響

建設業許可の維持には、継続的な法令遵守が求められます。無許可業者との下請け契約による違反は、以下の許可要件に影響を与えます。

  • 誠実性:許可の要件の一つは、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと(建設業法第7条第3号)です
  • 一括下請負の禁止:下請けに丸投げすること(一括下請負)は建設業法第22条で禁じられ、監督処分の対象になります

処分の重さによっては、許可の取消し(第29条)もありえます。

違反を防ぐための実務対策

配電盤を点検する作業着とヘルメットの作業員
配電盤を点検する作業着とヘルメットの作業員(イメージ)

チェックリスト:下請け業者の許可確認

無許可業者との契約を防ぐ最も確実な方法は、下請け予定者の許可状況を事前に確認することです。以下のチェックリストを参考にしてください。

  • [ ] 下請け業者の許可通知書の写しか、建設業許可証明書を確認したか
  • [ ] 許可の業種(工事の種類)が、頼む工事に合っているか
  • [ ] 許可の有効期限が工事期間中に切れないか
  • [ ] 許可番号を許可を出した都道府県か国の窓口で確認したか
  • [ ] 下請け契約書には、下請け業者の許可番号を明記したか
  • [ ] 工事完了後、実際の施工者が契約上の下請け業者と一致したか検証したか

特に舗装工事で複数の下請けを活用する場合は、工事種ごとに許可種類を確認することが重要です。

契約書作成時の注意点

下請け契約書には、以下の項目を必ず記載することで、違反を防ぎながら法的根拠を残せます。

  1. 下請け業者の許可番号と許可を受けた工事種の明記

– 例:「下請け業者は佐賀県知事許可(般)第△△△号の舗装工事許可を受けている」

  1. 工事の種類と内容の具体的記載

– 「△△工事のうち、舗装工事部分のみ」など、範囲を限定

  1. 下請け業者の誠実性確認条項

– 下請け業者が法令遵守能力を有することを表明・保証させる

  1. 実行体制の明確化

– 下請け業者の現場代理人や技術者を指名させ、実行体制を書面化

  1. 違反時の損害賠償条項

– 無許可営業が発覚した場合の責任と賠償を事前に定める

社内体制の整備

企業規模にかかわらず、以下の社内体制を整えることで、無許可業者との契約を組織的に防止できます。

営業部門の確認義務化

新規下請け候補者の提案時に、営業部門が許可通知書の写しか建設業許可証明書の提出を義務づける。許可がない場合は「許可取得後の契約」と明確に伝える。

経営管理部門の監視機能

契約書作成時に、経営管理部門(総務・法務など)が許可情報を確認する。許可番号の記載漏れや、許可と工事種の不整合をチェック。

現場管理部門の実行確認

工事開始前に現場代理人に下請け業者の許可情報を周知し、無許可業者が入場しないよう管理。工事中も随時、実行状況を確認。

定期監査

経営事項審査(経審)前や年1回程度、下請け契約書と実行状況の突合を行い、乖離がないか監査。

よくある質問

Q1. 無許可業者に仕事を出してはいけないのはなぜですか?

建設業許可は、適切な資格・経営基盤・技術者を備えた企業であることを証明します。無許可業者に発注すると、品質管理や安全管理が不十分になるリスクがあり、発注元も法的責任を問われます。建設業法で禁止されている行為です。

Q2. 下請け契約前に業者の許可を確認する方法は?

建設業者の許可の状況は、許可を出した都道府県か国の窓口で確認できます。許可番号・会社名を伝えて、有効期限も確認してください。契約前に必ず確認し、記録を保存しておくことが重要です。

Q3. 許可を持つ親会社から紹介された下請けでも確認は必要ですか?

はい、必須です。紹介元が信頼できるからという理由では免責されません。許可の無い業者と結べば元請けも処分の対象になる(建設業法第28条第1項第6号)ため、紹介でも一社ずつ確かめてください。書面による許可確認と記録保存を徹底してください。

Q4. 無許可業者との契約が発見されたら営業停止を避ける対応は?

発見時点で即座に契約を解除し、当該業者への発注を中止します。監督官庁へ早めに相談・報告しましょう(処分の重さが変わるかは個別の判断です)。今後の防止体制整備も重要です。隠蔽は更に重い処分につながります。

Q5. 小規模な現場でも無許可業者との契約は違反になりますか?

軽微な工事(500万円未満(消費税込み)、建築一式は1,500万円未満か延べ150㎡未満の木造住宅)は、許可が無くても請け負えます(施行令第1条の2)。それ以上の金額(500万円以上、建築一式は1,500万円以上)の工事を無許可の業者に下請けさせると違反になるため、全ての下請けで許可の確認を続けてください。

業種ごとに見ると、佐賀県で当サイトに掲載している会社は次のとおりです(2026年10月16日に数えた)。1社がいくつもの業種の許可を持つことがあるため、業種の数を足しても会社の数にはなりません。

業種佐賀県の掲載の会社
とび・土工工事業1,292社
土木工事業1,047社
建築工事業939社
水道施設工事業783社
舗装工事業741社
管工事業676社
鋼構造物工事業668社
しゆんせつ工事業582社
石工事業569社
解体工事業522社
大工工事業490社
塗装工事業486社
内装仕上工事業471社
屋根工事業398社
電気工事業358社
タイル・れんが・ブロツク工事業298社
造園工事業212社
防水工事業197社
建具工事業186社
左官工事業182社
板金工事業172社
ガラス工事業134社
機械器具設置工事業128社
鉄筋工事業115社
熱絶縁工事業105社
電気通信工事業88社
消防施設工事業78社
さく井工事業17社
清掃施設工事業1社
佐賀県の業種ごとの掲載の会社(建設業許可DBの掲載・2026年10月16日に数えた)

まとめ

木の机の上で白い紙の束を両手で持つ手元
木の机の上で白い紙の束を両手で持つ手元(イメージ)

佐賀県で営業を続けるためには、下請け業者の許可確認が不可欠です。佐賀県鳥栖市の総合建設会社の営業停止の件は、許可を持つ会社であっても、許可を持たない業者に軽微な工事に当たらない(500万円以上の)下請けを出せば処分を受けることを示しています。

違反を防ぐために重要な3つのポイントは、①下請け予定者の許可証を事前確認すること、②契約書に許可番号と工事種を明記すること、③社内の営業・管理・現場部門が協力して監視体制を構築することです。経営事項審査(経審)や工事実績報告も含めた総合的なコンプライアンス強化により、経営リスクを最小化できます。

貴社の下請け管理体制を今一度見直し、まずは現在契約中のすべての下請け業者の許可情報をリスト化して確認することから始めましょう。

出典:建設業法(e-Gov 法令検索)・国土交通省「建設業の許可とは」(確認日 2026-09-28)・九州地方整備局「建設業者に対する監督処分について」・九州地方整備局「指名停止措置の概要」・国土交通省「建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準」(確認日 2026-10-14)

この記事は一般的な情報をまとめたものです。法令や制度は変わることがあるため、最新の内容は公表元で確認し、個別の判断は窓口の役所や専門家(行政書士・社会保険労務士・税理士など)に相談してください。

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この記事を書いた人

建設業許可(一般・特定)の新規取得・更新・業種追加から変更届・廃業届まで幅広い申請実務に精通した許可申請の専門家。国土交通省の法改正情報を継続的に追跡し、都道府県ごとの審査基準の違いや落とし穴を解説。経営事項審査(経審)・入札参加資格・財産的基礎要件の確認方法など、中小建設会社が直面する許可維持の課題に対応した情報を提供している。

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